サポート生活でどたばたな毎日!


by torakog

【本】わたしのなかのあなた

骨髄移植の家族ドナーの少女を主人公にした小説です。
GARDのmamiさんに教えてもらいました。ありがとう!

*** 以下、ネタバレありますので、了解の上お読み下さい! ***



アメリカに住むフィッツジェラルド家。元弁護士のサラ、消防士のブライアン夫婦にジェシーとケイト、そしてアナの5人家族。アナは白血病の姉、ケイトの造血幹細胞移植ドナーとなるために、胚の段階でHLAを選択されて生み出された、いわゆるデザイナーベビー。アナは生まれてから、臍帯血(さいたいけつ)、骨髄採取、末梢血採取、顆粒球(順番が前後してるかも)をケイトのために提供してきた。それもきちんとした同意もなく。子供の場合は親が親権者として同意すれば法的にはいいんだけど。アナは採取の度に痛みに耐えてきた。

でもケイトの急性前骨髄性白血病は再発を繰り返し、今腎不全を起こしかけている。病院と両親は造血細胞移植ドナーのアナに、今度は腎臓を提供するように迫っている。

アナは提供を拒否し、「医療目的のための能力付与」(未成年に対しての両親が医療行為の管理権の放棄を意思表示すること)を求める。弁護士のアレグザンダーに依頼して、裁判を起こした。

アナは姉の死を望んでるわけじゃない。自分が散々痛い思いや、親の愛を疑った(提供する度に物を貰ったり、「愛してる」といわれる、条件付きの愛情にうんざりしてる様子、自分の実存を疑ってるけれど)から、提供を拒んで、愛情を得ようとして駄々をこねようとしてるわけでもない。でも13歳の女の子には、法廷の場でそれを分かりやすく伝えるのは、ものすごく難しい。

そして、ケイトが発症してから、病気中心になった家族の関係は密かに歪んでる。兄のジェシーはドナーになれなかった。両親は病気のケイトばかり構ってる。おかげで学校一の問題児。サラは通販でストレス解消。割と穏やかで天体観測が趣味のブライアン。ケイトの病気の大きさに隠れていた家族の心の歪みが、アナの裁判によって、噴出する。そして、裁判は終わるんだけど、その後予想外の事態が起きてしまう。

実は、血縁ドナー経験者としては、私はアナの立場に共感。ドナーになったとたんに、そのために特別な扱いを受けるのがものすごく嫌で。風邪を引いてもドナーとして心配されるのが嫌だった。アナは生まれたときからずっとそういう扱いを受けてきたんだなあと思うととても辛い。

そういう意味で、娘の治療に奔走し、叫びまくるサラが好きになれない。私の場合は弟の看病の最後に母親と大喧嘩したので、ますますサラに親近感を持てないんだけど。

ジェシー。ドナーになれない、妹を救えないということが心の奥深くで複雑な傷となっていて、それから問題行動を引き起こす。ドナーになる、HLAの一致は自分ではどうしようもないことなだけに、難しいよね。そして彼の気持ちが分かる人が皆無であることが問題をもっと難しくしているように思う。

他にも弁護士のキャンベル(苗字みたいだけど名前)や判事のデザルヴォなど、医療や子供の死を抱えて生きていく登場人物の思いが物語を深めていきます。

最後のケイトの言葉「私は彼女を一緒に連れて行く」がとても重く残ります。この一文を読んだ時に泣きました。私が弟のネックレスをつけるように、彼女はアナを身体の中に感じながら生きていくのかしら。何かを背負い続けるように。

amazonとかにも読者レビューがたくさん出ています。やはり、血縁ドナーや家族が移植した人でないと、この物語は実感されにくいのかしら。なんか、どこか遠くの現実的でない物語の感想ばかり。

f0149648_9561161.jpg
原書を購入。表紙が一緒なのね・・・これから頑張って読みます!

この物語は映画化されました。7月にアメリカで公開が始まったそうで。
アメリカの映画のHP ちょっと重いかも
映画では、母親のサラ役をキャメロン・ディアズが主演、本当にスキンへッドになったことで話題になってます。
日本では10月公開予定私の中のあなた 公式サイトキャッチコピーがなんか少しキツくて、誤解を招きそう。ドナーってまだ日本では感情的に受け止められているのかなあ。
[PR]
by torakog | 2009-08-12 01:22 | bone marrow